Rising Women Interview
次原悦子さん
意外と人は他人の人生なんて
見ていないもんです。
だって、みんな自分の人生を
生きるのに必死なんですから。
そう思ったら、
気が楽になりませんか?
自己紹介をお願いします
サニーサイドアップというPR会社の代表をしています。今年で創業34年の会社ですが、実は私は創業メンバーとして、17歳の時から会社に関わっています。年齢がばれてしまいますね(笑)。ですから、仕事歴だけはとても長いんです。
昔から私は、スポットライトの影にいて、ニュースな出来事の裏にいるという事をポリシーとしてきたので、自分が表に出たり、自分の事をお話しすることも避けてきました。ですが、今回、ご縁あって出会ったJANATのドレス社長の、仕事に対する思いや、社会貢献活動を私は尊敬していまして。今回はドレス社長からのご指名でしたので、恥を忍んで、顔は出せませんが、お話しをさせていただけたらと思っています。
私達がやっているPRとは、知られていないものを世に広めるために知恵を絞り、どれだけ多くの人に伝わるニュースにしていくかが仕事です。私達の会社のスローガンは「たのしいさわぎをおこしたい」。同じやるなら、自分達自身もやったことがないことをやってみたい。そして、新しい常識を生み出したり、社会課題を解決したり、価値あるものにつなげていきたい。そんな思いで仕事をしています。
現在のお仕事や取り組んでいること・経緯を教えてください
たった三人でスタートした小さなPR会社でしたが、それでも、お声をかけてもらえたり、自分達を信頼して、仕事を依頼していただける事がとにかく嬉しくて、どんな仕事でも喜んでやりましたね。無我夢中で仕事に挑んでいるうちに、徐々にお付き合い先も増え、色々な仕事のチャンスを頂きました。そして才能あるアスリートとの出会いを機に、スポーツビジネスにも関わる事になりました。中田英寿、北島康介ら、たくさんのスターアスリートが誕生してくれました。会社の規模も年々大きくなっていき、2008年に大阪証券取引所(現ジャスダック)に上場、そして2018年の12月には、東京証券取引所市場第一部銘柄に指定されました。
思えば、お金もない、知識もない、経験もない、人脈もない、信用もない、何もないところからのスタートだったからこそ、逆にしがらみにもとらわれず、色んなことをやれたのでしょうかね。目の前のことにぶつかりながら、ひとつずつ乗り越えてきたら、何となく今日に至ったというのが実感です。
24時間のタイムスケジュールを教えてください
週三回朝は出社前に、必ずジムに行ってトレーニングをしています。毎週水曜日はキックボクシング。たまにやり過ぎて怪我をして会社から真剣に怒られています(笑)。出社してからはもう怒涛というか…もう決まったパターンはないです。社内で会議もあれば、クライアント先に出向くこともありますし、イベントの現場や、スポーツの現場、経団連の活動や、国際会議参加…。とにかく毎日がジェットコースターのようです。ランチやディナーも、ミーティングを兼ねた会食がほとんど。それ以外は、デスクでコンビニ弁当です。料理をするのは大好きなのですが、平日自宅で食事できる事はほとんどないですね。海外出張も多いし。これだけ聞くとがむしゃらなスーパーキャリアウーマンみたいですけど、コンビニ弁当を食べている時点で格好よさからは程遠いわけで。あまり自分がどう見られたいとかに無頓着なまま、いつも好奇心の赴くままに行動したり、仕事に関係ないことに首を突っ込んだり、巻き込まれたり・・・。でも、それが大きな仕事に結び付いたり。私達の仕事はプライベートの境目がありませんからね。
まあ仕事は私の人生そのものです。
お仕事やご活動を通じて感じたやりがい、大変だったことや苦労したことを教えてください。
「女性だからきっと苦労したでしょう」と言われることも多いんですけど、忘れっぽいのか、苦労に気づかない鈍感力のせいか、自覚はないんですよね。ただ、会社が少しずつ大きくなっていく過程で、確かに男性からの嫉妬やらで足を引っ張られるような局面もありましたが、そこも含めてすべてを楽しんできた気がします。
やりがいですか?昔から、自分達が仕掛けたことが世の中のニュースになったり、電車で乗り合わせた誰かがその話をしていたりすると、凄く嬉しかったですね。世の中動かしている気になってニヤニヤしました。それは今も変わらないんです。今は会社が大きくなったことで、仕掛ける規模も随分と大きくなってきましたが、つくづく私は、この仕事が好きだな、と思います。このPRという仕事は、“世の中の空気”を作る仕事です。同じ出来事も光の当て方で希望になったり絶望になったりもします。ですから、人の心がポジティブな方向に向くようなニュースをこれからもたくさん作っていきたいと考えています。
あなたにとっての心安らぐ瞬間、
また生き生きと自分らしくいられると感じる瞬間はどんな時ですか?
心安らぐ瞬間って聞かれると、そういえばあまりないかもしれませんね。起きてから寝るまでなんかずっと突っ走っている・・・ちょっと情けないというか、たまにはゆっくり休まなくちゃいけないんでしょうけど、でもこれが私のペースというか、立ち止まったり、のんびりするとかえってそわそわしてしまうかもしれません(笑)。
自分らしくいられる瞬間?私は、いつも自分をさらけ出して生きているので、その質問も難しいですね。ただ、格好つけて言うわけではないんですが、昔から、貪欲だけれど、私利私欲があるようでなくて・・・。“自分のために”という意識も希薄で、それだとどっちでもいいかなと思ってしまう。でも目の前の人が困っているとか、何とかしてほしいと言われるとつい頑張ってしまう。多分頼られる事が一番嬉しいんだと思います。誰かの役に立てて、誰かからありがとう。と言ってもらえる事は最高の幸せですね。
お仕事、ご活動をされる中でのポリシーや座右の銘を教えてください。
座右の銘も残念ながら、私にはないんですよね。まあ仕事上のポリシーとしてずっと貫いてきたのは、“ステイアットシャドウ”かな。仕事の現場でカメラが向くと、さっと映らないように隠れる事が、脊髄反射のように身に沁みついているくらい、黒子としてスポットライトの陰にいます。ポリシーというより基本スタンスですね。
私って思い込みがとにかく強いんです。いいなと思うと、ついついのめり込んでしまって、色んな人に教えてあげたくなる。美味しいものを食べたら、「本当にこれおいしいの。食べて!食べて!」って、言って回らないではいられない。ビジネスライクなPRウーマンとはかなり違いますよね。本気で本当に好きで、勝手に勧めちゃっていますから。
でもPRという仕事には、思い込みはとっても大事。思い込めたからこそ、ここまで来られたのかもしれませんね。
あとはとにかく「すぐ動く」ですかね。一拍したら、忘れてしまったり、おっくうになってしまうものです。だから、思いついたら即行動。たまに、巻き込まれたスタッフには迷惑がられますが、結局それがいくつものチャンスに結びついた気がします。
日本の女性が活躍するために必要だと思うことを教えてください。
さきほどもお話ししたように、私は鈍感なので、女性であることが大きな壁だと感じたこともあまりなく、女性達の声で窮屈な男性社会を変えていこうみたいなことに、あまり興味もないままここまで来ました。ただ、日本には約170万もの会社があり、そのうち上場企業は約3,700社、その中で社長が女性の会社はたった1%。偉そうなことを言える立場ではありませんが、さすがにこの現状は国際的に見ても問題です。活躍の定義はとっても難しい。働く事だけが決して女性にとっての活躍とは思わないけれど、働きたい女性にとっては、この数字が表している日本の現実は厳しいものがありますよね。やっぱりそこはどうにかしないといけないとは思います。
世の中、何でも出来る優秀な女性達はたくさんいます。私は、自分が成功者とは全く思ってもいませんが、長い間会社を継続できたのは、決して私が優秀だったからではありません。
私は優秀という言葉とは程遠い人間ですが、だからこそ自分が何を知らなくて、何が出来ないということが痛いほどわかっていました。だから、そこを補ってくれる仲間を頼ったし、面白そうなことが飛び込んでくると、そのチャンスを仲間達と一緒にシェアして一緒に成長してきました。そんな仲間達も、それぞれにどんどん大きな存在になっていき、今でも、より一層頼れる存在になっていますからね。本当にありがたいことだと思います。出来ない事を認めて、誰かに頼れた事で会社は成長出来ました。私はそんな雑草キャラ。今の働く若い女性達が、「それなら、私も大丈夫。」と自信を持ってもらえたら嬉しいです。
数年後どんな自分になっていたいですか?
仕事を始めた頃は、今月支払できるかな。来月は大丈夫かな。と未来を夢想するなんて余裕もありませんでした。会社が大きくなり始めても、実は同じで、目の前のことにとにかく必死で挑む毎日でした。上場を決めるまでは、将来の事業計画なんて立てたこともなかったんですから。
ただ、振り返ると、すごく成功した事業というのは、用意周到に立ち上げたものより、勢いで積み重ねていったものの方が多いです。目の前のことに打ち込むスタイルの方が、私には向いているのかもしれません。
これから先、世の中がますます正解のない社会、常識が覆る社会になっていく時代です。だからこそ、人を幸せにできる、自分達にしかできない仕事を生み出していけるチャンスが来るのではないかとワクワクしています。
あと、これは社内にも公言しているのですが、私は60歳になったら、自分探しの旅に出たいと。バックパッカーになりたいと宣言しているんです(笑)。17歳の時から全速力で走ってきて、これまで会社を長く離れることはできなかったので、自由に時間を気にせずに、いろんなものを見てみたい。でもきっと、凄いものを見つけたらすぐに会社に電話をして、ビジネスにしようとするのかもしれないですけどね(笑)。
JANATの紅茶を飲んでみた感想とすべての女性に対するメッセージやエールの言葉をお願いします
私は実はコーヒーが苦手。毎日の紅茶は欠かせません。JANATのお茶は、生産国のたくさんの働きものの女性達の手によって丁寧に摘まれ、作られている紅茶だと聞いています。紅茶の品質はもちろんなのですが、一杯の紅茶の中にいるたくさんの女性達を思うと、どんなブランドよりも深い意味のある一杯のお茶なのだという気持ちになります。
女性へのエールですか?ホントに偉そうに言える立場では全くありませんが、言うのであれば、何かをしようと思うと、みんな色んな事を考えちゃいますよね。人からこう見られたらどうしようとか、こう思われるんじゃないかって躊躇する人って少なくありません。そのためにチャンスを失う人も少なくない。でもね、意外と人は、他人の人生なんか見てないんですよね(笑)。だって、みんな自分の人生を生きるのに必死なんですから。
でも、そう思ったらちょっと気が楽になりませんか?周りの目など気にせず、好きなタイミングでやりたいことをやればいいんですよ。一度きりの人生なんだから、貪欲に、自由に生きていったもの勝ちって気がします。だから私も、これからも今以上に、自分勝手に生きさせてもらおうかなと思ってます(笑)。