Rising Women Interview
千津井ゆきさん
自分から声をあげて
変えていく”意思職人”です。
自己紹介をお願いします
なでしこ寿司という世界初の女性寿司職人専門店の店長兼副社長を務めさせていただいております、千津井ゆきと申します。
現在のお仕事や取り組んでいること・経緯を教えてください
もともとファーストキャリアは百貨店で働いていました。学生時代は寿司屋でアルバイトをしていたんですけど、私が勤めていたのが百貨店に入居している店舗だったので、自然と入店機会が増えて、百貨店が自分にとって身近で居心地の良い場所と感じるようになりました。そんなこともあって、自然と就職は百貨店の方向で考えていました。美術系の大学に通っていたのですが、クリエイティブな物を販売したり、自分たちの目でセレクトして売り場で展開する百貨店の仕事が性に合ったというのもありますね。大学が美術大学なのですが、卒業を控え美術系の就職が厳しいなと感じたときに、百貨店があったなと思いあたったんです。今までの経験がすべて繋がったという印象がありますね。
24時間のタイムスケジュールを教えてください
仕事がある日は朝から仕込みを行なっているのですが、仕事がない日でも朝の8時9時にはお店へ行き、調達したものを置いておきます。お店に調達品を置いた後は、その日の目的地への移動時間に電車内でSNSをチェックしたり、喫茶店に入ってお茶を飲んでリラックスしています。そのタイミングで、これからお店をどうしていくかや、自身のキャリアについてのアイデアを手書きでメモ帳にまとめたりしています。そのあとは趣味のヨガをするためにスタジオに向かって、終わったら自宅に帰るという流れですね。
お仕事やご活動を通じて感じたやりがい、大変だったことや苦労したことを教えてください。
「寿司職人×女性」としての自分のキャリアです。寿司職人は男がやる、というのがみなさん固定観念としてあると思うのですが、私はそれを壊したいと思っています。寿司職人としての女性の立ち位置というのはまだまだ未完成で、はじまったばかりなので、0からこうしてポジションを作り上げていくのはやりがいがあるし、すごいことをやろうとしているんだと感じながら日々頑張っています。まだ確立されていない分、何もないところから自分で決まりを作ってみて、ダメなら変えてみる。それってなかなか仕事でもできることではないと思うので、そういったことができる今の環境には非常にやりがいを持って過ごしています。
あとは純粋にお寿司を握っているときは楽しいしやりがいを感じます。美術系の大学をでていることもあって、寿司に対してこうだ!と決めつけずに、新しいものを創作していく過程にワクワクします。お寿司の業界に入ってからは、大学時代の経験を活かして、盛り付け方に工夫を凝らすのが楽しいですね。あと一番面白いのが、寿司ってお客さまからダイレクトにその場で評価されるんですよね。お寿司のネタの質や、クリエイティブな創作物としての寿司、来店目的など、お客さまの目的がなんなのかを推測してそこに最適なものを提供する。その過程というのは非常にやりがいがあります。「なでしこ寿司」というものはまったく前例のないことなので、お客さんはそれぞれのなでしこ寿司像を描いていらっしゃいます。制服だけでいえば白衣のきりっとした服装をイメージする方もいれば、秋葉原にあるだけで萌えコスチュームをイメージする方もいます。ただ、現段階では私たちのなでしこ寿司というブランドを貫きたいと考えています。最初から世間一般の方々がイメージするだろうものに迎合はしないと思ってやっています。なでしこ寿司のブランド価値がある程度高まっていくなかで、お腹が空いているお客さんにはシャリを大きくしてあげたりとか、そうしたことは意識していければと。会話のなかでもお客さまが欲していることを考えつつ、ただ秋葉原で女性がやっているから女性らしい感じで対応するのではなく、お客さまのニーズにはお寿司で返すことを意識しています。そういった工夫のやりがいという側面も大いにありますね。
女子校出身で美大をでていたり、ちょっとですが変わった環境で培った感性が活きているときもあれば、逆にそれが世間ずれしていたり、個性的だとか、そういった偏見で見られてしまうことですかね。見た目もきりっとしているわけでもないので、この人がリーダーで大丈夫? という目線もあったり。そういった状況で、人の何倍も返していかないと評価が変わらないということが大変でした。百貨店に勤めていたときは、自身の美大で培った感性を活かしクリエイティブなバイヤーなどを目指していたのですが、キャリアのなかでは様々な困難があり、難しいことが多いなと感じていました。ただ、そうした困難や苦労を知ったうえで、自分が輝ける場所はどこなんだろうと考えられるようになったので、今はとても感謝しています。
あなたにとっての心安らぐ瞬間、
また生き生きと自分らしくいられると感じる瞬間はどんな時ですか?
接客業だったり人に教えたりと人と関わる時間が長いので、一人の時間が好きなんですよね。もともと一人っ子ということもあるのかもしれません。なので、喫茶店に入ってお茶を飲みながら好きなことをする時間が心安らぐ瞬間です。自分に一番合うのはどこだろうなあと考えながら、都内のカフェをめぐるのが楽しいです。お店だとパソコン作業ができないので、喫茶店では作業のしやすいテーブルの高さとか、座り心地の良いソファを気にしていますね(笑)。酸味の強い珈琲を飲むとお腹が痛くなってしまうので、紅茶やハーブティーを飲んで、リラックスしながらホッとする時間をとても大切にしています。紅茶のじんわりとした美味しさは頭を整理したいときにぴったりですね。複雑に考えていたことがゆっくりとほどけていくような。
お仕事、ご活動をされる中でのポリシーや座右の銘を教えてください。
自分から声をあげて変えていくことは意識しています。私が通っていた女子校が女性の社会進出に対しての意識が高く、自ら発信するということを至るところで取り組んでいたからです。例えば英会話の授業でも、ネイティブが発したことに対して何か返さないと次に進まなかったり、弁論スピーチ大会が校内であったり、自分たちでなんでもいいので委員会を発足して活動させたり、能動的にならざるを得ない環境だったので、自然とそのようになっていった感覚はあります。
あと、キーワードにするならば”意思職人”です。今の人は言いたいことを言えないことが多いように感じます。SNSに書けば誹謗中傷を受けたりもしますよね。やみくもに無鉄砲に考え発言するのではよくないので、どのように発信していけばいいのかを考えることが大事だと思い、日々考えながら発信しています。最近は女性の社会進出という部分で取り上げていただく機会も増えてきました。いつどんな時に質問されても答えられるよう、自分の意見を日々ストックしています。
日本の女性が活躍するために必要だと思うことを教えてください。
人によっては向き不向きがあるので、特性次第とは思うのですが、やり方を見極めるのは自分自身。外から自身がどう思われているのかを把握して、自分が何をすると問題解決に進みやすいのか、自分を分析することが大事ですね。ダメな部分は自分で分かっていますよね、だからよかった部分を積極的に自分で見つけていくことが大事だと思っています。意図的に前向きな自分を作っていくことが大事なのではないでしょうか。
数年後どんな自分になっていたいですか?
今の仕事への情熱を忘れずに邁進していくことはもちろん、数年後には子供が生まれると思うので、そのタイミングで板前をあきらめることがないよう、保育施設を充実させたり、働く女性に対してのPR活動を実施していきたいです。
なでしこ寿司にも保育園を充実させる計画を進めています。飲食店は夜がメインなので、そうすると子供のいる女性は離れざるを得なくなってしまいます。食と保育、食と介護は密接なので、そういった部分に対して積極的に動いていきたいです。最近は託児所を置いている会社も多くなってきているので、飲食店側ももっと充実させていく必要があると思います。
JANATの紅茶を飲んでみた感想とすべての女性に対するメッセージやエールの言葉をお願いします
非常にホッとする味わいで、日々意図していなくても肩に力が入ってしまっているので、じんわりとほぐされているような感覚ですね。とても美味しいです。
女性のみなさまへ思うことは直観を大切にしてほしいということです。こういう人になりたいと思ったら、ただ良いと思うだけじゃなくて、近づくにはどうしたらいいだろうかとその人の良いところを積極的に見つけていき、常に現状からの改善を目指していくことがより理想の自分になる秘訣だと思います。